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『夕凪の街 桜の国』舞台挨拶つき試写会

嬉しいことに、舞台挨拶つきの試写会が当たったので、行ってきた。前から3列目のやや右寄りという良い席で観ることができた。舞台挨拶にも近いし、映画を観るにもスクリーンが奥まっているので、ちょうどよい席だったと思う。

舞台上には中央にハープが置かれている。映画に使われたハープの曲を内田奈織さんが演奏してくれるのだ!ピンクのロングドレスで登場し、優雅に一曲披露してくれた。

演奏に引き続き舞台挨拶。昨夜梨元さんの情報サイトを見たら、今日の舞台挨拶の登壇者は「田中麗奈、吉沢悠、ほか」と書かれており、麻生さんの名前がない!撮影か何かで忙しいのかなあと残念に思っていたのだが、司会者の紹介により登場したのは、まず田中麗奈さん。ゴールドのキャミソールドレスで可愛い!顔がちっちゃい!そして、次は何と麻生久美子さん!!わぁ、来てくれたんだと、すっかり嬉しくなる。三日月しずかで見慣れたロングヘアは、肩くらいまでの長さに切っている。黒のスパッツに、黒の長袖のワンピ。ほとんどスッピンかなと思うほど自然な感じで、清楚で素敵!さらに、吉沢悠さん、中越典子さん、伊崎充則さん、藤村志保さん、そして、佐々部清監督という豪華なメンバーが壇上に並ぶ。藤村さん、シックな和装で、本当に品がよい。

まず全員が一言ずつ挨拶。田中さんは、「皆さんが映画を観たい!と思ってここに座っていらっしゃることが感じられてすっごく嬉しいです」と、かなり興奮気味に話す。麻生さんは他メディアのインタビューなどでも語っているが、この映画に関して、よほど思うところがあったらしく、時間があれば、もっともっと喋りたいことがあるようだった。「とにかく皆実という女性の気持ちを理解したいという思いで、ひたすら演じて、たくさん大切なことを学びました。生きていてよかったと、この役に出会えて思えたことが、自分にとって財産になりました」と語ってくれた。麻生さん以外のコメントをあまりよく覚えていないのだが、面白かったのは伊崎さん。麻生さんの弟の役なのだが、実際は年上だと言う。映画では高校生から30代までを演じるのだが、「学生服はまだまだいける!と思った」と笑わせてくれた。本当に若々しいというか、いつまでも少年のような役者さんだ。藤村さんは、スタッフ・キャストの中でご自分が最年長であり、原爆が落とされたときは小学校1年生だったとおっしゃり、心をこめて演じたと語っていた。監督はどんな方かと聞かれた田中さんが、大きく包み込んでくださるような方、と言うと、佐々部監督ハンカチを取り出して汗を拭く場面も(笑)
最後に一言ずつと促されたときに麻生さんは、「この映画にかかわるまでは、原爆や広島のことはほとんど知らず、知ろうともしなかったが、今後はこれを伝える側になりたい」と、これだけは言っておきたいという熱意をこめて語っていた。

続き
さて、映画の感想である。主演は田中さんだけれども、これはもう麻生さんの映画と言ってよいだろう。『時効警察』の三日月しずか役ももちろん大好きだが、この映画の皆実役は、麻生さんの本領発揮と思える。被爆して生き残ってしまった者としての苦悩を抱えながらも、明るく素直に生きてゆく役どころは本当にぴったりだ。広島弁が愛らしい。

広島・原爆を題材とした映画ではあるが、ことさら悲惨さを強調するでもなく、泣かせようという作りではないことに、まず好感を覚える。観終わって爽やかな気分にさせてくれる。ひとつひとつの台詞の重み、特に皆実の言葉が、全編を貫く平和への祈り、生きることの素晴らしさを支えている。

19日深夜のテレビ「銀幕会議2」で、館主の佐野史郎さんが、この映画の予告編を観て、「こういう題材を扱うと、役者は嘘がつけない。本当に当事者の気持ちになって必死に演じている」と言っていたが、まさにそうだ。少なくとも皆実の時代の描き方は、作り物の感じがしない。本当に丁寧に作った映画だなと思える。

構成は少し意外なものだった。前半はすべて皆実の時代(広島・長崎への原爆投下から13年後)の話だ。後半にやっと現代を生きる七波が登場し、彼女の父親にからめて13年前とつなげるという手法をとっている。多少前半と後半のつながりがギクシャクした感は否めない。何か2本分の映画を観たような印象だ。悪くはないのだが、人物の相関関係をつかむのに、少しとまどってしまった。また、原爆症のことや、そのために引き起こされた差別の問題をほとんど知らない世代の人たちには、後半の凪生と東子とのあいだの問題が何なのかが、ややわかりにくいのではないかと思った。皆実の最後の場面では、やはり涙がぼろぼろこぼれてしまった。生きたかった思いがまっすぐ伝わってきた。上映後には会場から拍手が起こった。

舞台挨拶の様子はこちらでも。
http://mantanweb.mainichi.co.jp/web/2007/07/post_1199.html

(2007.7.19 九段会館大ホール にて)

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