大の原作ファンなので、映画が公開されれば必ず観にゆくことにしている。『不死鳥の騎士団』は、原作も長いし、様々なエピソードが満載だし、映画化では構成に苦労するだろうなと思っていたが、同時にきわめて映像的な場面もたくさんあるので、特に熾烈な戦いの場面がどう処理されるかに興味があった。ほとんどの人が原作を読んでいるのだろうから、ネタバレにはならないかも知れないが、それでも原作と映画がどう違うかというところは、観てのお楽しみなので、一応隠しておこう。
前作までもそうだったが、エンドロールでのスタッフの名前の多さに、かける金額が桁違いなのだろうなとつくづく思う。ホグワーツのたたずまい、VFXの出来栄えなど、文句のつけようがない。とても楽しかった。原作のストーリーをかなり大胆にカットしても、盛り込む要素があまりに多いので、それぞれのエピソードが少しずつ薄まっているのがもったいないとは思う。そして、登場人物の描き方も、あまり心理描写に時間を割けなかったのだろうと残念でもある。ただ、核となるアンブリッジ先生や、必要の部屋での会合や、魔法省神秘部の予言の間(ま)の様子は、実に丁寧に作られていて感心した。
初登場のルーナ役のエバナ・リンチは本当に可愛い。原作より美女なんじゃないかな(笑)そんなに奇行の目立つ少女には描かれていなかった。キスシーンが話題になったチョウ・チャンとのエピソードは、あまり突っ込んだ描き方ではなかった。期待はずれだったのは、トンクスがあまり目立たなかったことだ。私は原作のトンクスが好きなので、髪の毛の色が変わるところなど、もうちょっと長く見たかったのだが、今回騎士団の人々がたくさん出てくるので、そうそう1人ずつじっくりも見せられなかったのだろう。
シリウスがベラトリックスに殺されるシーンのアーチ。あれをどのように作るのかも非常に楽しみにしていた。彼岸と此岸の境界をなす重要なアーチだから、あそこがいい加減だったら、ぶち壊しだなと心配していたが、ほぼイメージどおりで満足。靄のようなカーテンの向こう側にシリウスが倒れてしまうシーンは、胸が詰まった。ゲイリー・オールドマン、よかったなあ。原作でも好きな、ウィーズリー家の双子がしでかす花火騒ぎのシーンは楽しかったし、べラトリックス役のヘレナ・ボナム=カーターの熱演は凄かったし、ペチュニアおばさんの似合わないミニスカート姿や、いやらしいクリーチャーなど、笑えるところもたくさんあった。
ダニエル・ラドクリフが大人っぽくなりすぎていることはやはり気になるし、マイケル・ガンボンのダンブルドア役はそもそも気に入っていない(体つきが華奢なので強そうに見えないし、杖の使い方もあまり格好良くないし、もっと身体能力が高いはず)ので、個人的な不満は多々あるが、それらを差し引いても、138分間、魔法の世界に浸れるのは楽しい。
(2007.8.10 ユナイテッドシネマとしまえん にて)