早く観たくて一生懸命試写会に応募したら、めでたく当選し、昨日行ってきた。豪華な出演陣だし、ヴエネツィアにも参加していることもあり、かなり期待していたのだが、予想を遥かに上回ってとってもとっても面白かった!何か後に残るというような性格の作品ではないけれど、エンターテインメント性は抜群。昔のマカロニ・ウエスタンを知っている人ならば、3倍楽しめるだろうし、まったく知らない人でも映像の迫力に十分満足できるだろう。三池崇史監督作品を観るのは、実はこれが初めてだが、朝日新聞に三池さんが連載していたコラムを読んでいたので、興味を持っていたのは確かだ。
事前情報にはなるべく接しないようにしていたので、冒頭に香取慎吾さんが出てきたのにはびっくり。チラシにもオフィシャルサイトにも、彼の名前はクレジットされていなかった。うっかりエンドロールのところで見逃してしまったが、後で調べてみると、友情出演ということだったそう。ちょっと孫悟空とかぶるけれども、なかなかの迫力で演じていた。
全編英語ということで、どんなものになるのかなと思っていたが、英語の上手い下手はあるが、あまり違和感は覚えなかった。それでもやっぱり木村佳乃さんは英語がうまい。非常に個性的な役柄のキャストたちが実に魅力的だ。北村道子さんの衣装も素晴らしく、血みどろのストーリーなのにスタイリッシュな雰囲気をかもし出している。
男性陣では、まず伊勢谷友介さんの熱演が光る。そして伊勢谷さんの対極にあるような人物設定の松重豊さんは、ペーソスを感じさせ、いたく気に入った。ど派手で自分勝手で、なぜか文学好きの乱暴者を演じる佐藤浩市さん、一番笑わせてくれた。ボスの脇を固める人たち、イカレた女好きの安藤正信さん、イケメンをかなぐり捨てての熱演には脱帽。ちょっと情けない参謀役の堺雅人さん、赤のメッシュのヘアスタイルがよく似合い、役柄にぴったりだ。自分の二面性をコミカルに演じる香川照之さん、もう十八番という感じ。ただただ、本当に残念なのは、肝心の主役の伊藤英明さんが、どうも物足りない。マカロニ・ウエスタンでは、ジャンゴ演じるフランコ・ネロに相当するのだろうが、重みが到底及ばない。周りのど派手な連中と比べて、衣装も一番地味だし、よっぽど存在感がないと目立たない人物像だ。これをオダギリにやらせてみたかったなあと、つくづく思う。楽しみにしていたクエンティーン・タランティーノさん。いやはやすごい!うまい!
そして少ない女優陣は本当に素晴らしかった。木村佳乃さん、『さくらん』でも素晴らしいと思ったが、今回も大熱演。踊り、走り回り、濡れ場を堂々とこなし、悲しみも見せ、重要な役柄をものにしている。木村さんはイマイチ色気に欠けるとは思うのだが、このくらいの年齢で、アクションもこなせる色気のある女優さんがほとんどいないわけで、彼女を選ばざるを得なかったのだろう。そして、桃井かおりさん。この人に関してはいまさら何も言う必要はないが、やっぱり上手い。
とにかく、笑えた。平家物語やシェイクスピアが出てくるあたりが、爆笑だ。そこここに文学作品の引用が出てきたりして飽きない。もちろん、マカロニ・ウエスタンでおなじみの棺桶や、ダトリングガンもちゃんとある。映像もスピード感があり、不思議な印象のトーンで、残酷なシーンが残酷すぎずにスタイリッシュに処理されている。そして、最後に流れる北島三郎さんによるジャンゴの主題歌。北島さんが歌うという話は事前に知っていたので、いったいどうなることやらと懸念していたのだが、これが何ともぴったりなのだ!(笑)
ヴェネツィアでいったいどんな評判になるのか興味がある。かなり笑いをとれるのではないかと思う。
(2007.9.3 有楽町よみうりホールにて)