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『怪談』試写会

主題歌があゆだし、麻生さんも出るし…ということで、試写会に行ってきた。時代劇のせいか、観客の年齢層がとても高い。そして綺麗どころの女優さんがいろいろ出演しているためか、男性の観客が多い。

演技のうまい人を集め、正統的な時代劇を破綻なく作ったという趣の作品。そりゃ、『リング』などの中田秀夫監督と一瀬隆重プロデューサーのコンビ、脚本は『魔界転生』などの奥寺佐渡子さん、撮影は『リング』などの林淳一郎さん、スタッフの顔ぶれを見るだけで、水準以上の作品になるだろうことは想像に難くない。ただ、その道の第一人者たちが集まりすぎてしまったために、破綻がなさすぎて、面白みには欠けるように思えた。そして、まったくの個人的意見ではあるが、キャスティングに致命的な間違いがあるような気がしてならない。最重要人物の豊志賀を演じる黒木さん、とても綺麗な人だし、演技もうまいけれど、どうも色気に欠ける。何かサバサバしすぎているのだ。情念のかたまりのような豊志賀の役には少々不向きなのではないかと感じた。他の女優陣はそれぞれ、ぴったりのキャスティングと思え、特に木村多江さんがよかった。怪談のわりには、怖いところがたくさんあるわけではない。突然の大音響で驚かせるという箇所はあって、最初のドーン!という場面では、観客全員びっくりして、しばらく客席がざわついていた。それ以降は、隣の女性が顔を覆っていた箇所も、私にはオヤクソクという印象が強くて、そう怖くはなかった。終盤の尾上さんの立ち回りは壮絶で迫力があったが、全体として、さらっとしすぎていて、もっとどろどろしていてもよいのではないかと感じたが、現代に合うようにしたのかなあ。

続き

講談で始まり、昔の因縁を舞台調で展開する導入部は、とても面白かった。ここに登場する榎木孝明さんと六平直政さんは、さすがに物慣れていて、迫力も十分。物語上の現在に場面が変わると、あ、光石さんだ!と、嬉しくなる。麻生さんとからむ場面はないのだが、時効仲間は本当にいろんな場面で活躍しているなあと思わず余計なことを考える。麻生さんの登場場面はかなりあとのほうだが、とりわけ特徴のない人物像をさらっと印象薄く演じている。でも、着物での身のこなしがとても綺麗で感心する。上でも述べたように、新吉役の尾上菊之助さんが、色気たっぷりなのに比べて、豊志賀がさほどでもないために、「愛し合ってはいけない運命の二人」が愛し合うという肝心の部分が弱いと感じる。むしろ、木村多江さんのお園のほうが情念的に見える。まっすぐな若さを前面に押し出す井上真央さんは、いかにも何も知らないお嬢さんという感じが出ていて、なかなかよかった。尾上菊之助さんは、所作が美しいのはもちろんのこと、視線も独特で、もてる男をそれらしく演じていた。どうしても気に入らないのは、エンディングだ。誰もが思うことだろうが、あれは「サロメ」!もうちょっと独創的な形にならなかったものか。それに、身体がついているときの新吉はとても美男だったのに、首だけになると、やけに頭が大きく(黒木さんが小顔なので余計そう思えるのだろうが)、美しい図に見えなかった。

(2007.7.23 有楽町よみうりホールにて)

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