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『凍える鏡』

たまたま、どんな映画だろうと、映画公式サイトで予告編を見た時に、何がどうと確定的な要素があるわけではないのだが、伝わってくる空気のようなものに、『ゆれる』との類似点を感じ、観てみようかなと思い立った。『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』での老婆が素晴らしかった渡辺美佐子さんの100本目の出演作であるということも興味を惹かれた要因のひとつだ。
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『ゆれる』との類似点を感じたのは、間違いではなかったように思う。同じように、肉親の確執を描いた作品だった。ただし、『ゆれる』は兄弟のあり方が問題だったのに対し、こちらは母と娘の確執を描いている。全体として丁寧に作られた作品という印象だったが、肝心の母娘の確執の根っことなっているものが弱いような気がした。田中圭さん演じる瞬の存在が圧倒的な光を放っていたために、周りがぼやけてしまったといったら良いだろうか。母親を綺麗に描きすぎているために、娘が母親に対して持つ複雑な感情が突出してこないし、娘を演じる富樫真さんは、華やかすぎて、ちょっと鬱屈した部分が浮かび上がってこない。良かったのは黒姫の雪景色。瞬が雪掻きをするシーンでは、スコップを雪に突き刺す音がリアルで、瞬の心の内の複雑さと呼応しているかのようだった。

(2008.2.8 渋谷シネマアンジェリカにて)

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