記事一覧

『エリザベス ゴールデン・エイジ』

ヨーロッパの歴史物は好きだし、米アカデミー賞の主演女優賞最有力といわれていたケイト・ブランシェットに興味があったので見に行ってきた。まさに、堂々たる"女王の物語"だった。

続き
ストーリーは置いておいて、まず感嘆したのは、衣裳の素晴らしさ。これだけでも見る価値があるほど、本当に見事だ。エリザベスはいくつもいくつも衣裳を替えて登場するのだが、そのどれもが最上級の質感で美しく、彼女の凛とした女王振りをいっそうひき立てている。アカデミー賞衣装デザイン部門でオスカーを獲得したのは当然ともいえる。ドレスの色、刺繍などの飾り、ヘアスタイル、アクセサリー、すべてに溜め息が出る。エリザベスがその日着るドレスの色を、お付の者に「ブルー」と命ずる場面がある。これから自分がどのような場に出るのか、どのような心構えで人前に出るのか、そういった心の動きを自身の衣裳にも投影している興味深いシーンだと思えた。

物語は歴史的にも激動の時代だが、エリザベスその人を描くということに焦点をしぼっているため、実際の政治的、軍事的駆け引きを克明に追ったものではない。「国家と添い遂げた」女王としてのエリザベスを、英雄的にではなく、人間的に描いているので、歴史ドラマというより人間ドラマを見るつもりで観るべきなのだ。それで十分この作品の目的は達成されていると思う。

難癖をつけるとすれば、スペイン側を少し滑稽に描きすぎているような気もする。あれだけ強大な国だったのだから、それを打ち破ったイングランドということを強調するなら、もっとスペインも凛々しく描くべきだったと私は感じた。
ケイト・ブランシェットはいうまでもなく素晴らしい。凛としたたたずまいがもっとも似合うが、生涯ただ一度のキスを求めるシーンや、最後のベスの赤ん坊を抱くときに見せた微笑みなど、細やかな表情も印象的だ。女としての部分は、分身ともいえるベスに託し、自らは国家と結婚したあっぱれな女王ぶりが長く記憶に残りそうだ。

(2008.3.7 ユナイテッド・シネマとしまえん にて)

映画公式サイト

トラックバック一覧

コメント一覧