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『ダージリン急行』

これはチラシを見ただけで、観たいと思った映画だった。何とも言えないペーソスを漂わせた3人の男。砂漠と青空をバックに走る、濃いブルーが印象的なダージリン急行。タイトルの文字と背景模様の色と柄の醸し出すインドの雰囲気。映画フライヤー大賞なんてものがあるとしたなら、ノミネートしたい素敵なデザインだ。
本編が始まる前に、本編のプロローグとなっている短編『ホテル・シュバリエ』が上映された。この短編は悪くない。

続き
う~ん…ちょっとチラシに騙されたかな?(笑)インドの風景も、人々も、ダージリン急行の内部の描写も、音楽もみんなよいのだけれど、何だか笑えない。ゆるい笑いを求めているのだろうが、それにしても盛り上がりがない。ストーリーは、あってないようなロードムービーで、そのこと自体は悪くないが、全体的に会話にキレがないと言ったら良いだろうか。面白いエピソードも、凡庸な会話が壊しているのではないかと思ってしまう。各国映画祭で大好評という本作だが、もしかすると、日本語字幕が真面目すぎるのかも知れない。唯一笑えた場面は、3人が会いにいった母親が、「"sister's brother"がトラに襲われて死んだ」というところだけ。もっと面白くなる要素がたくさんあるはずなのに、何か惜しいという感じのする作品だ。3人のアメリカ人より、インド人の列車の車掌さんや車内サービス係の女性のほうが、ずっと魅力的だ。3兄弟をパッとしない人物像に仕立て上げるために、こういったメリハリをつけているのだろうが、あまりにも3人がパッとしなさすぎる。映像は文句なく素晴らしいし、エンドロールのときの、列車がずっと走ってゆく風景が一番印象に残った。そして最大の見所は、旅行バッグ。ルイ・ヴィトンのチーフ・デザイナーがデザインしたというスーツケースの山は、本当にうっとりするくらいカッコいい。あれが欲しい!という人がたくさんいることだろう。

本編前に上映された、3男坊のインド旅行前のエピソードを扱った『ホテル・シュバリエ』はメリハリもあって面白かったし、ナタリー・ポートマンがよい味を出している。

(2008.3.19 新宿武蔵野館にて)

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