吉田拓郎さんに興味のない私にとって、「吉田拓郎の名曲で彩る、父と家族の物語。」という映画のキャッチコピーにはまったく惹かれなかったが、監督が『夕凪の街 桜の国』の佐々部清監督だということで、ちょっと観てみようかなと思い、試写会に応募したら当たったので、友人と行ってきた。
おおむね、想像した通りの映画だったが、拓郎さんの歌が延々と流れるのかと思っていたところ、そうではなく、若いミュージシャンによるカバー曲になっていたので、むしろその点はホッとした。とくに、かなり重要な役となる次女を演じる中ノ森BANDのAYAKOさんの歌がとてもよいと思った。中ノ森BANDは名前しか知らず、曲を聴いたこともなかったが、魅力的なボーカリストだと感じた。
しかしストーリー自体は、ホームドラマの域を出るものではなく、映画にする意味があるのかなと疑問だ。あまりにどの人もいい人すぎるし、主演の三宅裕司さんは、テレビCMそのままの、ちょっと情けない父親で新味はないし、松方弘樹さんは、毒も何もない好好爺風の人物を演じて違和感があるし、ひたすらニコニコして夫に寄り添う入江若葉さんは、かえって不気味だし、キャストがずいぶんちぐはぐな印象だ。
三宅さんが、玄関に脱いである娘の恋人の靴を踏んづける場面や、モト冬樹さんの髪の毛ネタなど、笑えるところはあるが、コントネタ程度のものだ。ラストのほうの結婚式のシーンなどは、ベタすぎる展開で、観ていて恥ずかしくなる。やはり、拓郎さんの曲を愛している人にしか向かない作品かなと思う。
(2008.1.16 新宿シアターアプルにて)