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『不完全なふたり』

通常、水曜日のレディースデイは混雑するので、なるべく行かないようにしているのだが、たまたま時間ができたので、観に行ってみた。やはりかなりの混みようだ。ロカルノ国際映画祭で審査員特別賞をとったこの作品は、なかなか評判がよいらしいので、かなり期待もあった。ほとんど予備知識を入れずに行ったものだから、劇場に貼ってあるポスターを見て、びっくり仰天。原題は"Un Couple Parfait"ではないか!つまり「完全なふたり」という意味で、邦題と正反対なのだ。きっと、邦題が決まるまでは様々な意見が交わされたことだろう。「完全なふたり」では、インパクトが弱いと考えたのか、コメディーっぽく聞こえると考えたのか… ともかく、私の意見では、この邦題は直球すぎるなと思う。

続き

映画の中で、友人たちが二人のことを「完璧なカップルだ」と評するところがある。原題はここの表現と同じなのだが、これがつまり無意識のアイロニーになるからこそ、生きるタイトルなのに、やっぱり「不完全なふたり」じゃ、どうもピンとこない。

さて全体的な印象としては、あまりに地味な映画で、正直見ていて辛かった。ひとつのシーンの長さと、間(ま)の長さが、我慢の限界を超しているというか、リズムが単調すぎて、シリアスな場面なのに眠くなってしまう。もちろん、無意味な間ではなく、そこには心理の綾が展開されているのだが、それにしても長い。無理に108分にしなくてもよかったのではないかとさえ思う。

ほとんど即興のような撮り方をしているのだそうだが、そのせいもあって、極めて自然で、自分の隣で話が展開しているかのようだ。けれども、だからこそ、ポイントがこのカップルのあり方そのものだけに収斂され、それはあなた方夫婦の問題でしょ?そんな個人的な問題を他人に見せつけないでよ、勝手にしたら、と皮肉の一言も言いたくなるのだ。日仏合作ではあるが、フランス映画っぽいかと言えば、まったくそうは思わない。キャストがフランス人で、フランス語の作品であるのに、フランスっぽくない味付けがなされていることが、逆にエキゾチスムを感じさせて、海外での評価が高かったのかなとも思う。救いは、主役の二人が本当に素晴らしいことだ。

(2007.7.25 新宿 武蔵野館にて)

『不完全なふたり』公式サイト

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