2008年になって鑑賞した最初の1本。ついに公開時に観そびれてしまい、2007年度の各映画賞でかなり有力視されている作品であることもあって焦っていたのだが、ようやく観ることができた。文句なく面白かった。評判が高いのも十分頷ける中身の濃い作品である。何よりも、物語にオヤクソク的展開のひとつもないことが、観ていて片時も観客の興味をそがず、ストーリーにずんずん引き込んでゆく大きな要因となっている。いつもながら原作は読んでいないのだが、人気戯曲だと知って、なるほどと思う。そして、吉田大八監督が長編映画初のメガホンをとった作品だということが信じられない。CM界で培った才能が、そのまま大スクリーンでも薄められることなく披露されているという印象だ。
もちろん配役に恵まれたということも作品を成功に導いた大きな原動力だ。各所で高い評価を受けている主演の佐藤江梨子さん、妹役の佐津川愛美さんの熱演が光るし、個性的な演技でなくてはならない存在の永瀬正敏さん、永作博美さんが作品を引き締めている。ことに、永作さんの不気味さが抜群の印象を残す。
一言で言ってしまえば、家族の物語であるが、女同士のどろどろした関係は、『ゆれる』の男同士の物語よりも実感をともなって迫ってくる。これを2007年のうちに観ていたとしたら、きっと私の邦画ベスト3のひとつに挙げた作品になっただろう。
(2008.1.7 早稲田松竹にて)