昨秋映画館で、特報を初めて見たとき、面白そうだなと思ったが、公開目前になって、あまりの宣伝量に、だんだん鼻白んだ気分になってきた。それでも運よく試写状が当たったので、行ってきた。広い試写会場は超満員。関心の高さがうかがわれる。
ODAGIRIENNEから、ちょっと脇道にそれた話題の覚書
昨秋映画館で、特報を初めて見たとき、面白そうだなと思ったが、公開目前になって、あまりの宣伝量に、だんだん鼻白んだ気分になってきた。それでも運よく試写状が当たったので、行ってきた。広い試写会場は超満員。関心の高さがうかがわれる。
2007年ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞に輝いたこの作品。評判の高さに、かなり期待して観に行った。期待は裏切られず、あらゆる意味で圧倒的なスケールを感じさせる作品だった。これを観たあとでは、しばらくどんな映画を観ても、ふやけて見えるのではないかと思うほどの迫力の骨太な作品で、大変面白かった。
原作を読まないで観に行ってよかった。犯人探し、謎解きの興味が最後まで持続して、十分楽しめた。実力のあるキャストたちで、ストーリーが面白く、エンターテインメントとしてよい出来の作品だと思う。
去年に引き続き、今年も春はどうやらツキがあるらしい。毎日映画コンクールの表彰式とレセプションの招待に応募したら、信じられないことだが当たってしまい、本日(13日)連れ合いと行ってきた。いつも、テレビ報道で表彰式のステージの模様を見るだけなので、これほど豪華なイベントとは思わなかった。ともかく俳優さんたちが、ごく間近で見られて、大満足。会場は大きなホールで、ステージのすぐ前には丸テーブルが5つくらい並んでいる。そこは受賞者たちの席だ。私たち当選者は、椅子席の真ん中より後ろあたりだったが、会場は横幅が広く奥行きが狭いので、私たちの席でも十分ステージがよく見えるし、ステージの左右には大きなスクリーンがあり、受賞者たちの顔をアップで映し出してくれるので、どこにいても見えないなどということはない。さりげなく受賞者たちが会場後方から入場してくる。一番のお目当てだった麻生久美子さん、男優主演賞副賞のニッサンSkylineの前でちょっと足をとめ、技術賞の北村道子さんと何やら話しながら、席につく。ウエストから下がバルーン風に膨らんだ可愛い黒のドレス。黒のストッキングにピンクのハイヒールが素敵。
司会の男女が登場し、まず主催者側の挨拶、祝辞などが述べられる。いよいよ賞の授与に移る。最初はスタッフに与えられる賞から。受賞の対象となった映画のシーンがスクリーンに映し出される。『スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ』で技術賞の北村道子さんだ。「美術賞の佐々木さんと一緒に、この作品で受賞できたのが嬉しい」と短く語った。
『しゃべれどもしゃべれども』で録音賞の小松将人さん。「こんな素敵な賞をいただけて、国分さん、松重さんとともに受賞できて本当に嬉しい」と、やはり同じ作品にかかわった人々との同時受賞が何よりもスタッフの方々には嬉しいことなのだなと感じる。
『天然コケッコー』で音楽賞のレイ・ハラカミさん。ご本人は欠席だったが、代理の方が、「レイ・ハラカミさんは映画音楽を手がけるのは初めてだったので苦労され、通常より2~3倍の時間をかけた」と、その苦労が賞に結びついたことを嬉しく思っていると話した。
『殯の森』で撮影賞の中野英世さん。「テレビドキュメンタリーをずっと撮っているが、初めて撮らせていただいた映画で賞をいただけるとは」と感激の言葉を述べた。
『天然コケッコー』で脚本賞の渡辺あやさん。「原作が何より素晴らしく、原作のままに書いたので、私は何もしていないようなもの。今後は自分で何かしたと実感できるように精進したい」と述べた。
『それでもボクはやってない』で監督賞の周防正行さん。「初めて映画の監督をしたときは、よーいスタート!と毎日声を出すだけで嬉しい、監督をするだけで嬉しいと思ったが、最近は、ただ映画を作るという喜びは少なくなってきて、辛いことが多くなっている。だんだん賞も、その重みに責任を感じて、手放しで喜べなくなっている。この重みをしっかりと受け止めて、これからも作りたい映画をしっかり作って行こうと思う」と述べた。これを訴えなければという作品のテーマがいかに監督の中で重かったか、そのためにどれだけの苦労があったかがしのばれるコメントで、何だかホロリとしてしまった。
ドキュメンタリー映画賞の『バックドロップ クルディスタン』は、野本大監督が出席。「この映画を作って、自分の未熟さがわかった。今後も未熟なりによい作品を作りたい」と述べた。
アニメーション映画賞の『河童のクゥと夏休み』は、原恵一監督が出席。「ひとつだけ自信があるとすれば、作りたいと思ってから完成するまでの長さにかけては負けない自信がある。20年くらいかかってしまったけれども、やっと作ることが出来た」と述べた。
大藤伸郎賞の『カフカ 田舎医者』は、山村浩二監督が出席。「短編を作っている者にとっては、この賞は憧れの賞」と喜びを述べた。
外国映画ベストワン賞の『長江哀歌』は、オフィス北野の森氏が出席。「ジャ・ジャンクー監督を応援して10年くらいになるが感無量」と述べ、「山峡地区を代表して賞を受けている気持ち」という監督からのメッセージを代読した。
TSUTAYA映画ファン賞の日本映画部門『恋空』は、今井夏木監督、外国映画部門『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』は、宣伝プロデューサーの方が出席された。
さて、いよいよキャストの表彰に移る。
スポニチグランプリ新人賞の成海璃子さん。相当緊張の面持ちで、言葉少なに感謝の念を述べた。
同じく、スポニチグランプリ新人賞の松田翔太さん。片側だけ長く伸ばしたヘアスタイルで、すらりとしてカッコいい。『ワルボロ』について、「後悔しないように、台本をボロボロになるくらい読み込んで、とことん不良をやろうと思って臨んだ。賞をいただいたことで、どこか自信を刻めるようになった」と述べた。
女優助演賞の高橋惠子さん。さすがに着物姿が板についていて、立ち居振る舞いの美しいこと。「夢にも思っていなかった素晴らしい賞をいただいた」と、女優になって30年にもなるのに、自分は賞には縁がないと思っていたことを感激とともに述べた。
男優助演賞の松重豊さん。スクリーンで見るコミカルさや、悪役風のたたずまいはなく、素敵な方だと再認識。『しゃべれどもしゃべれども』では、しゃべるのが苦手な野球解説者の役だが、「あれは演技じゃない、というくらい今日は緊張している。45年生きてきて、初めてもらう賞が、こんな素晴らしい賞なんて」と嬉しそうにおっしゃるので、心からの拍手を送った。
女優主演賞の麻生久美子さん。「佐々部組のスタッフから、毎日映画コンクールはスタッフにも賞をくださる暖かい賞なのだと聞いた。この作品での受賞だということが何よりも嬉しい。スタッフ、キャストの支えなしには実現しなかったので、みんなを代表して賞をいただきに参りました」と、やっぱり瞳をうるませて語った。
男優主演賞の国分太一さん。「TOKIOには長瀬という素晴らしい俳優がいるので、受賞の知らせがきたときも、事務所も長瀬じゃないんですか?奇跡だ、と言ったほど。どこかで大きなドッキリをされているんじゃないかと思っている」と、これからも俳優をやっていきたいと述べた。
田中絹代賞の中村玉緒さん。「映画が大好きで大好きでやってきたが、14年前からぷっつり出演の話がなくなった。それが今回『椿三十郎』で役をいただき、夢のようで、それで満足していたのに、こんな賞がいただけて幸せ」と述べた。
特別賞の故・熊井啓監督。夫人が出席され、「プロダクションを作らなかったので、事実上二人でやってきて、亡くなる数日前まで、これはどこへ持っていこうかなどと、映画の話をしていた。どんなにか喜んでいることでしょう」と語った。
同じく特別賞の故・犬塚稔監督。代理の方が「106歳で亡くなるまでシナリオを書き続けていた」と夫人からのメッセージを伝えた。
日本映画優秀賞の『天然コケッコー』は、山下敦弘監督が出席。「こんなすごい表彰式だとは思っていなかったので、頭が真っ白になった。原作が素晴らしいので、なるべくいじらないようにしようと、脚本の渡辺あやさんとも話した。賞は原作にあげるべきと思っている。僕も今後はオリジナル脚本でここに立てるように頑張りたい」と述べた。
そして最後の受賞。日本映画大賞の『それでもボクはやってない』は、アルタミラピクチャーズの方が出席。「いまだに"それでもボクはやっていない"とタイトルを間違えられる」という話が記憶に残っている。
さて、滞りなく表彰式が済み、レセプションとはいったいどんなものかと思っていたら、会場を隣に移して、関係者の挨拶や、受賞者の大部分がふたたび勢ぞろいしての乾杯などで始まり、あとは思い思いに歓談というスタイル。とにかく大勢の業界人で、会場は埋め尽くされている。しばらくビュッフェの食べ物をつまんでいたら、もう帰られたと思った麻生さんが、会場にいらっしゃるではないか。いろいろな人とにこやかに挨拶を交わし、写真撮影にもいやな顔ひとつ見せない。私たちは、写真は禁止されていたが、ありったけの勇気を振り絞って近づいて、サインをお願いしてみた。もしや機会があるかと思って、『ハーフェズ ペルシャの詩』の映画パンフレットを持参していたのだ。この場では、『夕凪の街 桜の国』のパンフのほうを持ってくるべきだったかも知れないが、麻生さんは、パンフを見るなり「あ、ハーフェズ!ご覧になったのですか?」とニコニコ顔になり、快くサインをしてくださった。「とっても良い映画でした」と話しかけると、「ちょっと難しい映画でどうかな…と思っていたんですけれど」とおっしゃる。「1回で気に入って、絶対もう一度観に行きます!」と言うと、とっても嬉しそうにしてくださった。「『たみおのしあわせ』や『ボクたちと駐在さんの700日戦争』も楽しみにしています」と言うと、「たみおはいいですよ」とか「ボク駐は面白いですよ」とか、ちゃんと答えてくださるのだ。一般人の私などにも、実に気さくににこやかに応じてくださり、大感激で、ますますファン度が増してしまった。とにかく、一番お会いしたかった麻生さんに会え、お話もでき、夢のようなひとときだった。最初から最後まで、当選者の面倒を見てくださった映画賞事務局のスタッフの方、ありがとうございました。
(2008.2.13 セルリアンタワー東急ホテルにて)
たまたま、どんな映画だろうと、映画公式サイトで予告編を見た時に、何がどうと確定的な要素があるわけではないのだが、伝わってくる空気のようなものに、『ゆれる』との類似点を感じ、観てみようかなと思い立った。『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』での老婆が素晴らしかった渡辺美佐子さんの100本目の出演作であるということも興味を惹かれた要因のひとつだ。
以下ネタバレ
『サッド・ヴァケイション』と『アヒルと鴨のコインロッカー』が、3部門で受賞するという嬉しい結果になっている。そして、ここでも『ひめゆり』が特別賞だ。
◇最優秀作品賞:青山真治 監督『サッド・ヴァケイション』
◇最優秀監督賞:河瀬 直美 監督『殯の森』
◇最優秀監督賞:山下敦弘 監督『松ヶ根乱射事件』
◇最優秀主演女優賞:石田えり『サッド ヴァケイション』
◇最優秀主演男優賞:瑛太『アヒルと鴨のコインロッカー』
◇最優秀主演男優賞:濱田岳『アヒルと鴨のコインロッカー』
◇最優秀助演女優賞:板谷由夏『サッド ヴァケイション』
◇最優秀助演女優賞:並木愛枝『14歳』
◇最優秀助演男優賞:三浦友和『松ヶ根乱射事件』
◇最優秀助演男優賞:松田龍平『アヒルと鴨のコインロッカー』
◇最優秀新人女優賞:蓮佛美沙子『転校生ーさよならあなたー』
◇最優秀新人男優賞:林遣都『バッテリー』
◇最優秀新人男優賞:山田健太『バッテリー』
◇若手監督グランプリ:群青いろ(廣末哲万/高橋泉)『14歳』
◇特別賞:柴田昌平監督『ひめゆり』
昨日、第81回キネマ旬報ベスト・テンの映画鑑賞会と表彰式に行ってきた。映画は3作品が上映され、3つとも観るのは少々負担だったので、文化映画第1位の『ひめゆり』と、日本映画第1位の『それでもボクはやってない』の2本だけを観た。どちらも公開時に観た作品なので、これが2度目の鑑賞だ。
『ひめゆり』は、初めて観たときには、、座っているのに、ただただ呆然とスクリーンの前に立ち尽くすといった気分だったのだが、今回は冷静に観られるかと思っていたら、かえって女学生たち一人ひとりの思いがよりいっそう胸に迫り、とめどなく涙がこぼれ、あやうく号泣しそうになった。これが事実なのだと思い知らされることは、何と重く、何と悲しく、何と彼女たち(犠牲になった方々、生き残った方々ともに)が愛おしく思えることか。
『それでもボクはやってない』は、最初に観てからほぼ1年が経っているのだが、変わらず新鮮で精緻で、素晴らしい作品だとあらためて思う。今回印象に残ったのは、冷徹な裁判官役の小日向文世さんと、穏やかで冷静な人柄でありながら芯の通った弁護士役の役所広司さんだ。主演男優賞を総ナメにする勢いの加瀬亮さんについては、確かにうまいし、役柄そのものなのだが、持ち味に合致しすぎる役柄に思え、とりわけ新鮮さが感じられなかった。つまり、例えば『スクラップ・ヘブン』や、『めがね』での加瀬さんとのギャップがないと私には思えるのだ。
さて、楽しみにしていた表彰式。日本人の個人賞受賞者で欠席者がひとりもいないという豪華メンバーがステージ上に揃った。司会はここ数年通り、笠井信介アナ。去年と同じジョークを発するので少々がっくり。1年前の記憶はそんなに薄れていないものですよ!と言いたくなる。同行の友人とも感慨を述べ合ったのだが、とにかく主演女優賞の竹内結子さんの美しさは特筆ものだ。テレビや映画で見慣れているものの、実際の竹内さんは、その何倍も美しい。受賞者のコメントは、時間の制約もあって、それぞれ短いものだったが、印象に残ったことをつづっておこう。
◇日本映画作品賞『それでもボクはやってない』
アルタミラピクチャーズの桝井省志プロデューサーが出席。歴史ある作品賞を受賞して大変光栄であると述べ、この作品は、周防監督との企画段階から、果たしてメジャー公開していいんだろうかと不安な状態でスタートしたと述懐。それが各方面の協力を得て、全国公開され、評価に結びついたことに感慨もひとしおという面持ちだった。
◇外国映画作品賞『長江哀歌』
配給会社ビターズエンドの定井勇二氏が出席。ジャ・ジャンクー監督の5本目にして、このような賞をいただき、とくに観客の方々、キネ旬の読者の方々に感謝していると述べる。発売になったばかりの「キネマ旬報」2月下旬号にも掲載されているジャ・ジャンクー監督のコメントも読み上げた。
◇文化映画作品賞『ひめゆり』
対象はプロダクション・エイシアだが、柴田昌平監督が出席。出席者の中で、僕だけが危うく欠席かも知れないところだったと説明。テレビ番組の制作でモスクワにいらしていたそうな。いつ欠航するかわからないアエロフロート機でやっと帰国なさったという。他の作品に比べればまだまだ微々たる数の観客動員数だが、これから何十年も上映し続けて行きたいと語った。
◇日本映画監督賞/脚本賞/読者選出日本映画監督賞 周防正行
トリプル受賞とあって、開口一番「どうしよう…という感じ」と苦笑い。面白い映画とかいいものを作ろうという気がまったくなくて始めた作品。このまま黙っていてはいけないという思いで作りたくて作った。テーマからして「社会派」といわれることは仕方ないだろうと覚悟していたが、この「社会派」という言葉の持つ敷居の高さを超えるものにしたいと思っていたところ、途中から「エンターテインメント」だといわれるようになった(笑)これからどうなるかはわからないが、一生映画監督をやっていくだろうとは思う、と述べた。『それボク』が『Shall we danse?』から10年ぶりということもあって、笠井アナが、次回作は10年後ということはありませんよね?と水を向けると、「わかりません」と答えていた。
◇外国映画監督賞 ジャ・ジャンクー
オフィス北野の内山(?)プロデューサーが出席。キネ旬の結果は中国でもかなり大々的に報道されるらしく、ジャ・ジャンクー監督も大変喜んでいたと述べる。
◇主演女優賞 竹内結子
白いドレスがひときわ輝いて美しいが、気負わずサバサバした調子で感想を述べる。今朝のテレビ報道でも竹内さんはしばしば映ったが、5kgの重さのトロフィーによろめきそうになりながら、喜びに重みがあるとすれば、この5kgのトロフィーは格別です、と述べた。
◇主演男優賞 加瀬亮
丈の短いパンツにカットソーのような素材のジャケットで、着くずしたようなお洒落なスタイル。今回の作品は、スタッフなど周りに支えられて賞に結びついたと思うので、今後は自分の力できちんとこういう場に立てるように頑張りたいと、地に足のついたコメントだった。
◇助演女優賞 永作博美
竹内さんと対照的に、黒のウエストを絞ったドレスで、大人っぽい雰囲気。対象作品の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』は、安定感のない役だったので、賞をいただくのが不思議な気がしている。今後は、見てくださった方が楽しんで下さるような役をやっていきたい、と述べた。
◇助演男優賞 三浦友和
いつもと変わらないオーソドックスなスーツ姿だが、紺色の縁のメガネがお洒落。風邪をひかれているそうで、少し鼻声。対象作は『転々』、『松ヶ根乱射事件』、『ALWAYS 続・三丁目の夕日』だが、去年は6作が公開されたので、6本の合わせ技で賞をいただけたと思っている。心から感謝している。これからも俳優として精進して行きたい、と述べた。
◇新人女優賞 蓮佛美沙子
登場のときから紅潮し、非常に緊張している様子がうかがえる。それでも、まさか受賞できるとは思っていなかったので、ここに立って重いトロフィーを持って、やっと現実なのだと実感していると述べ、スタッフや観客に対する感謝の念をしっかりと伝えていた。
◇新人男優賞 林遣都
若者らしく、鎖のアクセサリーなどをあしらったお洒落をしている。選ばれたと聞いたとき、まったく実感が湧かず、キネ旬がどんなにすごい賞かも知らなかった。『バッテリー』で、多くの大切な出会いがあり、その方たちが支えてくれたおかげ、と述べた。
◇読者選出外国映画監督賞 フロリアン・フォン・ドナースマルク
出席者のお名前を失念してしまったが、配給会社のアルバトロス・フィルムの方。監督に伝えたら非常に喜んでいた。監督からのコメントを紹介しようと思ったが、非常に長いので、発売中のキネ旬に載っていますので、買って読んでいただければ、と笑わせてくれる。『善き人のためのソナタ』は地味な映画なのにヒットした。何より読者に支持されたことが嬉しく、配給できて本当によかった、と述べた。
◇キネマ旬報読者賞 川本三郎
テレビにもほとんど出ない評論家を選んでいただいてありがとうございます。だいたい雑誌に連載しても、やがてクレームがついて、半年くらいで連載中止になることが多いのだが、キネ旬はずっと連載をやらせてくださり、好きなことを書いて賞までもらえて、レベルの高い読者がいるということが嬉しくもあり、怖くもある、と述べた。
平日開催にもかかわらず、午前中の『ひめゆり』上映からかなりの観客数。私もたまたま時間がとれて参加できたが、ああやっぱり映画が本当に好きな人たちが集まっているのだなと思う。ただ、せっかくの表彰式なのだから、もうちょっとそれぞれのコメントの時間をたくさんとってくれればと毎年思う。でも楽しい1日だった。
(2008.2.5 有楽町朝日ホールにて)
観たくてたまらなかった麻生久美子さん主演の『ハーフェズ ペルシャの詩』に行ってきた。スクリーンから、心を爽やかにくすぐってくれるような心地よい見知らぬ風が吹いてくるようだった。「詩のようだ」というのではなく、ストーリーも映像も詩そのものだ。アボルファズル・ジャリリ監督の、観るときにはなにも考えずに、映像だけを見て欲しい。そうすれば違う世界にいざなわれるはず、という意味の言葉そのものの、素敵な作品だった。
全世界で800万部以上の売り上げを記録した大ベストセラーが原作の作品であるし、2月9日からの上映館のひとつが恵比寿ガーデンシネマであることから興味を持ち、試写会に応募した。観たい映画を選ぶときの判断基準のひとつとして、恵比寿ガーデンシネマで上映される作品にはまずハズレがないという考え方が私にはある。試写会場は立ち見が出るほどの盛況ぶりで、関心の高さがうかがえる。重い民族の問題がベースにありながら、その重さを飛び越えて、人間の尊厳という普遍的なテーマを鮮やかに爽やかに浮かび上がらせた見応えのある作品だった。
豪華な出演者たちの登壇が告知されている完成披露試写会に当選し、原作が伊坂幸太郎ということで、もちろん映画そのものにも興味があり、喜んで行ってきた。
会場となる東京国際フォーラムは、コンサートで頻繁に訪れる場所だが、ホールAの経験しかなく、今回のホールCは初めて。東京国際フォーラムで開催される試写会は、いつも座席指定という話を聞いていたが、今回もそう。座席指定券はランダムに配布されるので、早く並んでも前の席になるとは限らないとのことだったが、配布開始時間少し前に到着すると、すでに長蛇の列。試写状と引き換えてもらった座席指定券はなんと3階席。会場に入ってみると、スクリーンの遠いこと!オペラグラスを持参したので、登壇者の顔はちゃんと見ることができたが、映画自体は自宅のテレビで見ているような感覚だった。ホールCは約1500席だから、やっぱり映画を見るような会場ではない。キャストを見られるのでもなければ、行きたくない場所だ。
さて、開演時間になり客電が落とされると、舞台上にスモークが焚かれ、雷鳴がとどろき、稲妻が走り、スクリーンには土砂降りの雨の映像。雰囲気たっぷりのオープニングだ。司会を務める日テレの杉上佐智枝アナの紹介によって、ゲストが登壇。筧(かけひ)昌也監督、奥田恵梨華さん、村上淳さん、石田卓也さん、光石研さん、富司純子さん、小西真奈美さん、そして大歓声の中、金城武さんがステージに勢ぞろいする。実物の小西さんにお会いするのは二度目だが、目の覚めるようなブルーのロングドレスで、今回も本当に素敵。富司さん、いつもながらのシックな和服でお綺麗なこと!奥田さんは初めてだが、整った顔立ちで大人っぽい綺麗な人だ。どうしても女優陣のほうに目が行ってしまう。1階席には金城さんのファンの方々なのだろう、死神の扮装にちなんで白手袋をはめて手を振るグループがいる。
舞台挨拶のポイントだけを書いておこう。まず一人ひとりが挨拶。
金城:死神の(笑)千葉を演じた金城武です。よろしくお願いします。
小西:長い目で見ると人生って悪くないなと思えるような作品じゃないかと思います。
富司:毎日が楽しい撮影で、素敵な映画になりました。
光石:今日はありがとうございます。楽しんで帰ってください。
石田:見に来てくださってありがとうございます。
村上:このスモークの上って、気持ちいい!(村上さん、終始とってもお茶目)
奥田:お掃除ロボットを演じた奥田恵梨華です。よろしくお願いします。
筧監督:原作を知ったのが27歳のときで、今30歳なんですが、足掛け3年かかった作品です。
そして個別質問に移る。
Q:6年ぶりの日本映画主演で、死神の役をするということについては?
金城:言われて6年かと思うだけで、その間もいろいろ撮影はしていたし、ほかの国の作品が日本で公開されるときのイベントで日本を訪れていたので、あまり6年ぶりという特別感はありません。この作品は原作の小説を読んで面白かったですし、エピソードごとの小さい哲学、価値観に同感できました。そして筧監督の脚本を読んで、これは面白くなるなと思いました。人間の感覚のない役なので、ただ立っているとバカみたいに見えるので、その微妙さを出そうと思いました。
Q:死ぬことをどう思いますか?という台詞がありますが、金城さんがそう聞かれたら?
金城:今言われたら、撮影中なので、ちょっと待って!って交渉しますね(笑)皆に迷惑なので。そうじゃなかったら、プロデューサーと話して、早くを代役を見つけてくださいって言いますね(笑)
Q:80年代のOLを演じられましたが、どういう役作りを?
小西:80年代ということで、すべての衣装にかなり肩パッドが入っているんですね。で、地味な役なんですが、うつむき方も、思った以上にやらないと肩パッドのせいで堂々として見えるらしいんです。
Q:金城さんはどういう方でしたか?
小西:とても紳士的ですが、とてもユーモアのある方です。(金城さんが意味ありげな目つきをするので、なぜか小西さん真っ赤になる)
Q:美容師役ですが、どのように役作りを?
富司:美容学校に行って、1日シャンプーやカットを習ったんです。一日じゃとてもマスターできないので、行きつけの美容師さんにお願いして練習させてもらいました。姿勢や指の使い方など難しくて、ずいぶんしごかれて楽しかったです。
Q:義理堅いヤクザ役ですが、ご自分と通じる部分は?
光石:僕はヤクザじゃないので、重なるところはないですね(笑)でも、まっすぐな男だなと思いました。
Q:撮影は大変でしたか?
石田:ずーっと雨で、僕は濡れっぱなしなので、雨降らしが大変でしたね。
Q:金城さんと死神仲間を演じられていかがでしたか?
村上:金城くんをずっと好きで、一緒にお仕事できるというオファーがきて、好きな人と一緒に仕事できるのは最高なことでしょう!金城くんはスペシャルだよ!(白手袋のファンを見て、「いいなあ」とも)
Q:金城さん、富司さんという俳優さんたちと共演していかがでしたか?
奥田:お二人ともなんですが、現場に入られると、現場の雰囲気が研ぎ澄まされるんですね。空気が美味しくなるんです(村上さんが、わかるわかる、と同意の発言)。その空気を吸って、リラックスして芝居ができました。
Q:撮影で苦労されたことは?
筧監督:僕は自主制作から映画を始めたんですが、この原作の持っている物語性は、僕が作ってきた映画と似ている気がするんです。大変なことというより、精神性や根本のところは、楽しく撮影できました。
Q:最後のご挨拶を。
金城:僕以外はみんなずぶ濡れで、僕だけが設定上濡れなくていいので、いつも傘をもらっていて、それはありがたかったですね。特別じゃないけれど、大切なものを見つけ出して、自分の人生と照らし合わせて、何かを感じてくれたらいいなと思います。
そして、全員が退場してから、筧監督がひとりステージ上に戻ってきて、ご自分のデジカメで客席を写したりしていた。
さて、映画の感想に移ろう。
以下ネタバレ